将来、人工知能が主軸になるIT業界で淘汰される側になるのか、操作する側になるのか

佐藤雅樹さん/株式会社Ad Listing代表取締役社長

(プロフィール)
1977年、東京都生まれ。外資系生命保険会社の営業職を経て、WEBマーケティング会社に転職。 インターネット広告代理店のリスティング事業立ち上げのコンサルティングを行う。 2012年に株式会社Ad Listingを設立し、代表取締役に就任。 これまでに400社以上のリスティング広告やFacebook広告の運用を代行している。

起業から4年という短い時間で、飛ぶ鳥を落とす勢いの成長を見せる株式会社Ad Listing。しかし、経営者である佐藤さんは、“リスティング業界は長くは続かない”と断言する。だとすれば、これから先の展望はどう考えているのか――。1つのことに固執せず、新しい世界へ柔軟に足を踏み入れていく佐藤さんの仕事への考え方や、従業員への独特な思いはもちろん、起業をするまでのお話や、企業当時の苦労などをたっぷりと話してもらった。そこには、彼が何よりも大事にしている“コミュニケーション”の取り方や、人脈の広げ方など、今の時代に働くすべての人へのヒントが隠されていた。
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バーテンダー時代に得たコミュニケーション能力が、今の自分を支えている

――佐藤さんは、学生の頃からIT業界で経営者になろうと思っていたんですか?

佐藤:いやいや、僕は通っていた専門学校を辞めて、フリーターとしてファーストフードやガソリンスタンド、夜はバーテンダーとアルバイトで生計を立てていました。バーテンダーの方は、15時から翌朝の8時まで働いて月給8万円だったんですが、そこで鍛えられた接客方法が今の僕に生きていますね。

――たしかに、バーにはさまざまなお客様がいらっしゃいますよね。

佐藤:そうなんです。そこでは“カップルが来た時には前に立つな”や“男女でいる場合は女性にオーダーを聞くな”という基本的なことはもちろん、“急に女性が泣きだしたらどう対応するのか”などを教わりました(笑)。どんなトラブルに対しても、臨機応変に対応できるようになったのは、ここで働いていたおかげだと思っています。その後、外資系の保険営業の仕事に就いたのですが、フルコミッションの契約だったので、契約を取れなければ給料がもらえなかったんですよね。毎月保険料を払っていたのでマイナスの給料になることも。そこで、この状況から抜け出さなくてはとインターネット業界に興味を持つようになったんです。

――最初はどんなことから勉強されたのでしょうか。

佐藤:当時の2000年ごろは、メールマガジン(以下、メルマガ)全盛期でした。今のように企業からのメールが迷惑フォルダに振り分けられることもなかったので、より多くの人に情報が行き、興味を持った人に小冊子を送付することで顧客データを得られたんです。僕も、メルマガビジネスで成功していた人のもとで働くようになりました。その頃にできた人脈と、顧客を集客するノウハウが、今に繋がっています。その後に出会ったのが、PPC広告(※)でした。当時はワンクリックが数円にしかなりませんでしたが、これは大きくなるぞと思い、本腰を入れることにしたんです。

(※)クリック回数に応じて課金されるタイプの広告
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人脈を広げることが仕事の成功への第一歩

――具体的にどのようなことを?

佐藤:とにかく多くの情報商材にお金を費やしたり、色んな人のセミナーに顔を出したりしましたね。当時、僕自身もメルマガを発行していたので、そこで出会った成功している人たちとランチに行ったことなどを配信していたんです。

――その行動力が成功に繋がっていると思うのですが、今はSNSの浸透により、実際に会う機会を持たない人が増えていますよね。

佐藤:そうなんですよね。僕はいま39歳なのですが、そのような若者の考えていることは、本当によくわからないんですよ(苦笑)。僕の直属の部下である役員も31歳になるんですが、彼が考えていることすらわからないです。

――それでも会社が回るのはなぜでしょう。

佐藤:リスティングの仕組みがシンプルだからでしょう。言葉を選ばずに言えば、仕組みさえ完成させてしまえば、こうやって話している間にもお金は発生するんです。さらに必要なのは、顧客の集客力。それさえあれば、会社を回すことは可能です。

――佐藤さんがリスティングに的を絞ろうと思ったのは何がきっかけだったんですか?

佐藤:辻野晃一郎さん(Google日本法人元代表取締役社長)のセミナーに行ったとき、「Google AdWordsは将来どうなりますか?」と聞いたら、「広告を使える人がいないから極めた方がいい」とアドバイスをいただいたんです。その一言が大きい後押しになりましたね。そこで2012年の5月に、今の会社である「Ad Listing」を起業したんです。

カード会社のブラックリストに載ったことも

――経営は最初からスムーズにいきましたか?

佐藤:実は、この会社を起業する直前に、勤めていた会社で4か月間給料をもらえないということがあったんです。その後にもらった給料も家賃より少し多いくらいで、ほとんど生活できあず、当時は生活のためにキャッシングもしましたし、カード会社のブラックリストにも載ってしまいました(苦笑)。そんな状況で起業したので、とにかく最初はがむしゃらで仕事しましたが、経営的に楽だった記憶はあまりないですね。

――そこから右肩上がりの成長を遂げられていますが、佐藤さんの強みはどんなところでしょうか。

佐藤:数年先まで見据えてプランを語れるところでしょうか。お客様に数年先の未来を語り、プランが見えていることがわかると、「ここに予算を預けていても大丈夫」と思ってもらえるんです。さらに、リアリティを持たすためにも「ベンチャーだけど人脈も力もある」、このことを見せるのが大事なんですよね。だからこそ、さまざまな人と会ったことをSNSに投稿しているんです。それが、僕とAd Listingのブランディングに繋がります。
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――Ad Listingとしての展望を伺えますか?

佐藤:この業界は移りゆくものだと思います。今の仕事が数年後もあるとは限りません。だから、社員全員がフランチャイズの形で得意分野を活かして、さまざまな事業を展開していってほしいんです。この会社で学ぶ集客さえ身につけば、どんな仕事もできるんですよ。その地固めをここでやってもらえればいいと思っています。起業したいときが来たらバックアップはするけど、その後マージンは払ってねという仕組みにしようとしています(笑)。

――なるほど。それなら利益として返ってきますね。

佐藤:でも、今の段階では社員たちは口を開けて待っているだけで、新規事業を提案することはほとんどありません。どうも指示待ちの人が多いんですよね。

指示待ち人間なら必要はない。自分の意志や思考がないと生き残れない

――なるほど。普段の社員教育で大切にしていることは?

佐藤:「経営者目線でいろ」と言うようにしています。この業界はいつか人工知能に移り変わり、淘汰されていくでしょう。それなら、その人工知能を操る立場の人間になれ、と。そのために必要なのは、自分を打ち出すこと。自分の意志や思考がないと、生き残れないと思うんです。

弊社では、数年前から採用基準に飲食店でのアルバイト経験の有無を重視するようになりました。学歴で判断するのではなく、たとえば雨が降ったらお客様に何ができるか、こういうことを考えられる人を採用したいですね。こういうことが身に付いていないと、お客様に仕事を貰うありがたさが分からず、結果的に解約になってしまいます。そうならないように、しっかりとバランスを取れる人が必要になってくるんです。メールひとつ取っても、パソコンの向こうに相手がいますよね。そこでテンプレートしか使っていないものと、オリジナルの一言が添えてあるのとでは印象は全く違います。

――ありがとうございました。では最後に、起業しようとしている人たちにアドバイスをお願いします。

佐藤:起業して、成功している人たちに共通することは、劣等感やハングリー精神だと思うんです。学歴ではなく、柔軟性と熱意がモノをいいます。どうやって生きていくかということを考え抜いた結果が未来に繋がっていくんです。少しでも迷う暇があったら、一歩進んでみるのがいいと思いますよ。

(インタビュー・文/吉田可奈、編集/井上こん)

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