「熱中することが価値を生む」 ユーザー最優先のサービスを追求、24歳で独立・起業へ

黒田裕己さん/株式会社WakeApp代表取締役社長

(プロフィール)
在学中からインターンとして参加していたWeb系ベンチャー企業にエンジニアとして入社し、SNSアプリ・Webメディアのサーバーサイドの開発と、開発グループのリーダーを担当。リモートで開発に関わる外部エンジニアとの連携を強化するためのオペレーション設計や、DevOpsというサービス開発の基盤の構築にも携わる。2016年1月にWakeAppを設立し、現職。

自分の体に合ったトレーニング方法とは? 無理なく確実にダイエットを成功させるためのポイントとは? 個人レベルから企業単位まで、健康への意識が高まりつつある。そんな世の中の需要に応えるサービスが誕生した。フィットネスに関する信頼度の高い情報を発信する動画メディア「OLIVA」(オリバ)だ。

ありそうでなかったサービス展開を実現したのは、株式会社ウェイクアップ代表の黒田裕己さん。大学卒業後、ベンチャーでのエンジニア勤務を経て、若干24歳で起業を果たした。「OLIVA」が生まれた背景には、トレーニングオタクとも言える自身の経験、そしてユーザー最優先のサービス開発を追求し続けた「熱中力」があったという。
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ハードエンジニアとして大手企業に進む同期たちの中で「異端」の存在

――まずは、黒田さんが起業に至った経緯について伺えればと思います。エンジニアの道を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

黒田:高校生のときに初めてiPhoneを見たことですね。それに心惹かれ、「自分もこんなハードウェアを作りたい」と思うようになり、エンジニアを目指して大学に入りました。当初はハードエンジニアを志していたんです。

大学時代にはTwitterやFacebookなどのウェブサービスを知り、多大なコストをかけることなく世界中の人に使ってもらえるソフトの可能性に目覚めました。そこで、ウェブ系ベンチャー企業に就職したものの、自分の作りたいものが定まっていたわけではありませんでした。そのころ、起業志向のある仲間と出会い「何か独自サービスを作りたいね」という話になって、そのなかで思いついたのが「OLIVA」という、トレーニングやダイエット関連の動画を中心としたメディア。これを事業化するために設立したのが株式会社ウェイクアップです。

――大学時代は、主にどんなことを勉強していたのですか?

黒田:ハードもソフトも両方学んでいました。機器の電圧を測るといったような、プログラミングにまったく関係のないことも。同級生たちは、アンテナを作る会社や大手金融系システムを作る会社に就職しましたね。私はというと、大手ゲーム会社の内定を得たのですが、それを蹴ってインターンで参加したベンチャーに就職して、仲間うちでは珍しいタイプだったと思います。

――大手の開発環境はエンジニアにとって魅力的だと思うのですが、あえてベンチャーを選んだのですね。

黒田:もともとは「資金力」と「ブランド」と「大規模なシステム」に魅力を感じてそのゲーム会社を志望していました。しかしインターンでベンチャーの環境に飛び込んでみたら、社長との距離の近さや先輩社員の魅力、それに若いうちから大きな裁量をもらって仕事ができる環境に、一気に惹かれてしまったんです。自分のキャリアには最良の環境だと思い、ベンチャーを選びました。

ワンマンプレーでは、良いサービスは生まれない

――実際にベンチャーを経験して、どんなことを身につけられたと感じていますか?

黒田:エンジニアとしてのスキルや業務的なスキルはもちろんですが、誰にも頼ることができない環境、自分が成果を出すしかない環境の中で、「あきらめずにやりきる根性」が鍛えられたと思います。どんなことでも、最後は自分が責任を持たなければいけない。そんな経験を積ませてもらったことに感謝しています。

――逆に、社会人になってからの失敗経験にはどのようなことが挙げられますか?

黒田:最初の頃は、とにかく技術を行使して作ったサービスを人に届ければいいと思っていました。ワンマンプレーでも、良いサービスを開発できれば勝ちと。でも実際のところ、1人で発揮できる成果やパフォーマンスは時間あたりで上限が決まってしまいます。2人、3人、4人……というチームでの掛け算のほうが、コストがかかっても最終的に優れたサービスが生み出せることを痛感しましたね。

その経験は、現在の会社経営にも生かされています。エンジニアをはじめ働く人の希少価値が高まり続けているなかで、チームワークと働きやすさを提供できる環境を作らなければ、一緒に働いてもらえる仲間を見つけることもままなりませんからね。

サービスの向こう側にいるユーザーへ、確実に届けるために

――ウェイクアップの企業風土として大切にしていることを、もう少し詳しくお伺いしたいです。

黒田:何よりもまず、サービスづくりに没頭できる環境にしたいと思っています。サービスづくりに熱中して、そのサービスの向こう側にいるユーザーに対して、自分たちが実現したい世界観を正確に届ける。起業前から、それを追求したいと思っていました。

――そうした環境を作るためには、何が大切なのでしょうか?

黒田:「どんな人と仕事をするか」「メンバーとの意識合わせができているか」「自分たちは何を実現しようとしているのか」。この3つを共有し、同じ軸で進んでいくことが大切ですね。私自身そうだったのですが、エンジニアというのはユーザーにどう響くかよりも、自分が新しく学んだ技術を駆使しがちです。その技術ははたしてユーザーに届けるための最短経路なのか、このことを常に意識しなければいけないと思います。そのためには、どんなメンバーで仕事を進めるのか、どんな風に意思統一を図るのか、いかにして目的意識を共有していくかが重要になってきます。
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トレーニングやダイエットに向けた「意思決定」を支援するメディア

――「トレーニング」や「ダイエット」、「健康」をコンセプトにしたサービスは、どのような背景で生まれたのでしょうか?

黒田:私自身、体を鍛えるのが大好きで昔からジムに通っていたんです。しかし、正しい知識を持たずにマシンを使い続けていたら、体のバランスがおかしくなってしまって。人それぞれに適切なトレーニングやダイエット法があるはずなのに、そうした情報を体系的に得られるメディアはほとんどありませんでした。自分たちのそんな経験もあって、「OLIVA」というメディアサービスを開発しました。(2016年7月~)

――確かに、特定のトレーニングやダイエット方法に関するコンテンツはたくさんありますが、それを体系的にまとめて発信するメディアは珍しいですよね。今後はどう展開していく予定ですか?

黒田:「なりたい体」を目指すための情報提供をして、ユーザーに「何から始めるか」を意思決定してもらえるメディアにしたいですね。トレーニングやダイエットの入り口として、まずは興味・関心を持ってもらうため、30秒程度の動画でスパッと理解できるようなコンテンツを中心に、それらをSNS配信してメディアでも集客する予定です。

――インフルエンサーや企業とつなげていくためのネットワークサービスも展開予定だと伺いました。

黒田:はい。「FINSTAR」(フィンスター)というサービスを準備しているところです。「OLIVA」のような分散型動画メディアと呼ばれるサービスは、SNSで拡散してもらうためのインフルエンサーが必要不可欠です。私たちの場合は、フィットネス関係の情報を発信しているインフルエンサーとともに新たなコンテンツを作ったり、関連企業とのタイアップをしたりといった展開を計画しています。

日本中に、ポジティブなメッセージを発信していきたい

――黒田さんは「健康」に関する市場の将来性をどのように考えていますか?

黒田:ビジネスパーソンにとって、健康であることは根本的な資産価値だと思っています。何をするにもまず健康であることが大切ですし、「正しいトレーニング」という自己投資は絶対に裏切ることなく成果として返ってきます。私自身がそうですが、体への自信はメンタル面での自信にもつながり、仕事にプラスの作用をもたらします。そうした意味では、今後この市場はますます拡大していくのではないでしょうか。

「OLIVA」を通じて、そうしたポジティブなメッセージをビジネスパーソンに発信していきたいですね。トレーニングやダイエットを真剣に始めたいと思ったとき、「OLIVA」を見れば間違いない。ゆくゆくはそんな存在になりたいですね。

――ありがとうございます。最後に、黒田さんのように20代で起業したいと考えている若い読者の方々に向けて、メッセージをお願いします。

黒田:大切なのは、「自分が熱中できることを探して打ち込むこと」だと思います。ひたすら続けていられる何かを見つけること。私の場合はそれがiPhoneというハードウェアへの興味であり、TwitterやFacebookなどのウェブサービスへの憧れでした。

他の誰にも負けないぐらい熱中できることが見つかれば、自分でも信じられないような集中力を発揮できるようになります。そうやって一つの分野を追求し続けていけば、社会へある程度の価値を返せる存在になれるはず。それが起業への情熱につながるならば、躊躇せず、すぐに踏み出すべきだと思いますね。

(インタビュー・文=多田慎介/編集=井上こん)

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